ハチミツ、バナナ、グラノーラ、玄米(雑穀米)、お粥、蕎麦、飲む酢、さらに最近ブームの甘酒など、多くの人が「体に良い」と思い召し上がっています。そこで今回は、これらの食品の糖質量をチェックしながら、糖質制限推進派医師の意見を参考に「体に良いか否か?」を考察してみました。
考察とドクターの意見
※ 角砂糖の個数は、糖質の多さをイメージして頂くためのものです。
ハチミツ 糖質16.7g≑角砂糖4.2個分/大さじ1杯
ハチミツはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)という単糖類が主成分です。つまり糖質のかたまり!NG食品です。
「単糖類(ハチミツ)は、早く吸収され、脳を助け、長く効率よく働くエネルギー源になります」「脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけなのです」という某ハチミツメーカーの説明ですが、ここに以下が付記されると、果たして体に良い?と言えるでしょうか。
- 単糖類(ハチミツ)は、吸収が早いので、血糖値上昇が一気に起こり、中性脂肪の合成(=太る)やAGE(終末糖化産物=老化のもと)の蓄積を起こします。
- 脳を助けるのは、単糖類=ブドウ糖エネルギーだけではありません。脳は、脂質から生産されるケトン体エネルギーも利用します。よって「甘いものを食べないと脳が働かない」というのはウソ!
むしろ、ケトン体エネルギーはブドウ糖エネルギーより持続性があるので、糖質を控えるとケトン体エネルギーが始動するので、頭が冴えるだけでなく疲れ知らずの体に変わっていきます。
ハチミツは超ボーナス食材。毎日食べるものではない。たまに食べて非常用の脂肪として蓄えるもの。甘みは本来はとても貴重なものだった。現在は甘い物に溢れている。
甘 酒 糖質26.8g≑角砂糖6.7個分/150ml
「飲む点滴」「吸収率が良いのですぐにエネルギー源になる」と言われている甘酒は、逆に言えば、高糖質液体なので吸収率が早く、血糖値が短時間で一気に上がる危険な飲料です。糖尿病患者、境界型糖尿病の人は、NG飲料!です。
実際、筆者は写真にある約100ccの甘酒(炭水化物24.8g)を飲み、わずか50分で血糖値が108⇒249mg/dLと急上昇しました。
※ 吉田内科クリニック吉田光範医師による指導のもと、アボット社FreeStyleリブレで測定しました。
「飲む美容液」とも言われてますが、ハチミツ同様、老化のもとであるAGEも生産しているわけで、美肌効果が期待できるのか疑問です。
「健康に甘酒」も違うと思います。栄養が足りない時代は確かに甘酒は良かったのでしょうが、今は毎日白米をしっかり食べられるので、糖質過多になっています。
点滴が栄養バッチリのように扱われていますが、基本的に点滴は「水分ミネラルの液体」です。グルコース(ブドウ糖)は入っているものといないものとがありますが、少なくともそれで栄養たっぷりという内容のものはありません。アミノ酸やビタミンはもともとの点滴には入っていないので新たに混入しなければならない始末です。
「飲む点滴」というのは、医学的に厳密に言葉を受け取れば「栄養素は足りません」と言っているようなものです。おそらく世間にはびこる「食べられない時は点滴で栄養補給できる」といった偏ったイメージを利用した販促用キャッチフレーズであって科学的な根拠はないものと思われます。ちなみに一般的に「飲む点滴」として医療の中で認知されているのは、熱中症予防の際に水分補給に用いられる経口補水液(ORS)です。
フルーツも糖質が多い
「1日1個のりんごは医者を遠ざける!」という諺はありますが、りんごの糖質量は33.8g、角砂糖8.5個分もあり、わずか1/4切れでも血糖値は上がります。りんごに限らずフルーツはほとんどNG食品です。また糖度が凝縮しているドライフルーツもNG食品です。
- りんご 糖質33.8g≑角砂糖8.5個分/1個260g(皮と芯をとった状態) ビタミンC 8.6mg
- かき 糖質33.8g≑角砂糖8.5個分/1個260g(皮と種をとった状態) ビタミンC 166mg
- バナナ 糖質28.2g≑角砂糖7個分/1本220g、ビタミンC 21mg
- もも 糖質15g≑角砂糖3.75個分/1個200g(皮と種をとった状態) ビタミンC 13.6mg
- グレープフルーツ 糖質12.9g≑角砂糖3.2個分/1/2個、ビタミンC 52mg
- キウイ 糖質9.3g≑角砂糖2.3個分/1個100g、ビタミンC 57.7mg
- みかん 糖質8.8g≑角砂糖2.2個分/普通サイズ1個100g、ビタミンC 26mg
- いちご 糖質1.4g≑角砂糖0.4個分/1粒20g、ビタミンC 12mg
- アボガド 糖質1.3g≑角砂糖0.3個分/普通サイズ1個200g(皮と種をとった状態)、ビタミンC 21mg
フルーツで利があるのはビタミンCが多いという点のみです。普段から糖質を控えている人は、酸化ストレスの温床となる糖代謝をあまり使用しなくてすむので、抗酸化作用をもつビタミンCを摂らなくても健康維持ができます。一方、普段から糖質中心の食生活の人は、酸化ストレスを減らすべくビタミンCをせっせと摂取する必要性が出てきてしまいます。しかし、糖質の多いフルーツからのビタミンC摂取では本末転倒です。
グラノーラ
食物繊維が豊富な上にドライフルーツやナッツも入り、ヘルシーと女性に人気のグラノーラですが、カルビーのフラグラ(プレーン味)でチェックしてみました。
1食50g、糖質31.6g≑角砂糖8個分、食物繊維4.5gと、糖質はかなり多いです。原材料は、オーツ麦、ライ麦粉、砂糖、乾燥果実(パパイヤ、レーズン、りんご、いちご)、小麦粉、ココナッツなど、ココナッツ以外はすべて糖質の多い食品です。
ちなみに、フルグラシリーズの糖質25%オフのグラノーラでさえ、糖質17.8g≑角砂糖4.5個分/1食50gもあります。
朝食にグラノーラをヘルシーだと信じて召し上がっている女性は、太るもと、老化のもと(AGE)を摂取しているわけです。
化粧品もそうですが、女性が美容に良いと思ってやっていることは、結構逆なことが多いですね。
口あたりのよい酢
一時「痩せるバナナ酢」が流行りましたが、「血液がサラサラになる」「痩せる」と相変わらず酢を愛飲する人も多いので、酢を考察してみます。
普通の酢は低糖でOK食材ですが、気をつけたいのが口あたりのよい酢です。飲みやすくするために、ブドウ糖や、ハチミツ、フルーツが入っていて糖質が多いです。飲むだけでなく、ヨーグルトに入れたり、野菜を漬けたりと、料理にも活用してくると、糖質摂取量はさらに多くなります。
低糖人で健康志向派だと思われている筆者は、この「おいしい酢」を2度も頂きました。主婦層に人気の酢のようですが、大さじ1杯で糖質5g=角砂糖1.3個分ですが、甘すぎて利用できませんでした。
飲むお酢は大抵かなり甘いですね。大さじ一杯で糖質5グラムはかなり多いです。でも女子は好きですよね。糖質制限実践前はプレゼントていました。健康に良さそうなイメージで。あくまでもイメージだけど。酢のヘルシーなイメージって結構曲者です。
酢は代謝を高め血糖抑制効果はありますが、ブドウ糖やハチミツを添加した酢は糖質量が多いから、せっかくの効果も帳消しになってしまいます。よって、甘みのない酢を、調味料として使用するのが正解です。
酢酸(酢の主成分)が腸管の栄養に重要なのは確かだと思うんですが、上部消化管で全部吸収するので、下部消化管で栄養となるのは腸内細菌が作った腸内細菌の作った酢酸です。
玄 米・雑穀米
玄米や雑穀米の方が白米より健康的な穀類と思われていますが、白米と比べても、糖質量はほとんど変わりません。すべて糖質の多いNG食品です。
- 玄 米 糖質53.9g≑角砂糖13.5個分/茶碗1杯150g
- 雑穀米 糖質44.8g≑角砂糖11.2個分/茶碗1杯150g
- 白 米 糖質55.1g≑角砂糖13.8個/茶碗1杯150g
血糖値測定の実験で、弁当にある玄米1/3(50g以下)とおかずを食べ、60分で血糖値が102⇒156mg/dLと急上昇しました。
※ 吉田内科クリニック吉田光範医師による指導のもと、アボット社FreeStyleリブレで測定しました。
玄米は胚芽にミネラルや食物繊維が含まれていますが、少量なので白米を食べるよりは少しはマシ程度の差です。
お 粥 糖質23.5g≑角砂糖5.9個分/茶碗1杯
正月の暴飲暴食の胃休めに七草がゆ、胃の調子が悪いからお粥さんと、消化の良いイメージがあるお粥ですが、はたして本当でしょうか?
糖質主体の粥(穀類)は、決して消化の良い食べ物ではないのです。胃の中で多段階の消化酵素を経ないと分解できず胃内にとどまります。胃内に長時間とどまれば、その間胃酸の分泌は刺激され続けるので胃酸が逆流しやすくなり胸やけの原因となります。一方、肉類は消化に悪いイメージですが、実は脂質は胃内で速やかに消化されます。糖質を控え、脂質とたんぱく質をたっぷり摂る食事に変えると、逆流性胃炎が治るのもそのためです。
蕎 麦 糖質40.8g≑角砂糖10個分/1食170g
脂っぽいラーメンよりは、さっぱりした蕎麦が体には優しいと、お昼はいつも蕎麦というサラリーマンも多いのではないでしょうか。しかし、蕎麦に限らず、麺類はすべて糖質の多いNG食品です。空っぽの胃に、糖質のかたまりを入れる食事は、午後から眠くなり仕事の効率も悪くなります。
そば湯は、高糖質の上に液状なので吸収率が早く血糖値が一気に上がるリスクが高くなります。さらに打ち立ての蕎麦と日本酒は、最悪の高糖質コンビ!です。
蕎麦粉に含まれるルチンの血液サラサラ効果は確かにありますが、主成分はあくまで糖質なので、逆に血糖値が上がり、エネルギーとして使用されない余分な糖は中性脂肪として体に蓄積されます。
何が本当に体に良いのか?
かつて、糖尿病は「贅沢病」と呼ばれていました。昭和40年代はじめ頃まで、ハチミツは貴重な滋養食であり、蕎麦も晴れの日の特別な一品でした。バナナは子供のあこがれのおやつでした。便利な交通手段や家電がないので運動量もずっとありました。
しかし、今はどうでしょう。昔に比べると1日の運動量も少なく、糖質系食品にあふれた食環境の中で「何が本当に体に良いのか?」と、ご自身で一度考えてみて下さい。
参考文献:「食品別糖質量ハンドブック」江部康二著
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